トップライト3題

建築家が好きな造形言語にトップライトがある。自然光をいかに生かすかが建築家にとっての大きなテーマである。ここではトップライトの中でもハイサイドライトと呼ばれるものを三つ紹介する。


こちらはかつて見たバルセロナのミロ美術館 。槙文彦の師匠でもある、スペインの建築家ホセ・ルイ・セルト設計、柔らかいウォールト屋根から光が差し込む。スペインの強烈な日差しを直接ではなく、ハイサイドライトから入れて、バウンドさせて取り込むところがポイント。自然光で見るアートは目に優しい。ホセ・ルイ・セルトはこの建築言語を他のプロジェクトでも多用している。


こちらはかつて設計チームに参加した東京オペラシティアートギャラリーの断面。同じく、ハイサイドライトから光を入れて、上と同じような形状のウォールト屋根にバウンドさせ、光を取り込む。自然光で美術品を見せることをテーマとしたけれど、美術品の保護の問題もあり、光のコントロールは難しい。ギャラリーの設計者、栁澤孝彦はいくつも美術館を設計しているが、いずれも自然光を取り入れる設計になっている。50分の1模型を作って、同じ向きで現場に模型を置いて太陽光がどう入るかテストしましたね。模型製作の桧森さん。


さて最近話題に上げている私たちの設計した水彩館のトップライト、介護を受けている方々はなかなか表にも出られないので、なるべく自然を感じるようにという配慮から、天井からの自然光というアイディアになった。平屋だから成立した構成である。トップライトの下は高齢者が集うコモンスペースであり、屋内だけど屋外のような、中庭的なスペースでもある。部屋の配置も凹凸をつけ変化をつけている。やはりハイサイドライトの向きは難しく、かなり検討したが、最終的には秋口に入る自然光のためブラインドをつけた。

光の扱いは難しいが、計算通りの結果になった時は大きな喜びでもある。光をめぐる思考は、これからも続けて行きたい。