東京オペラシティ〜ガレリアの思い出

私が竹中工務店時代に設計チームに参加した東京オペラシティのガレリア。


建築における光の扱いについて、私が関わったまた別のプロジェクトを通して考えてみる。これは東京オペラシティのガレリア、東京でも最大スケールの半屋内街路、長さはミラノのガレリアと同じ200メートル越え。光と陰をテーマにNTTファシリティーズと都市計画研究所、そして昨年お亡くなりになったTAKの栁澤孝彦がデザインした。

トップライトはさまざまな形状、案を検討したが、栁澤さんの決めの意見でコマ返しのデザインに、これは強力だった。影が落ちて建物の表情を変えていく。大きな空間にふさわしいインパクトのあるデザインだった。

階段はいくつも案を検討し、結局シンプルでフラットな階段に。イタリアローマのカンピドリオ広場へ向かう階段の勾配、蹴上、踏面を参考にしている。登りやすいという人と登りにくいという人がいて面白い。身体感覚を揺さぶることを意識した。石はイサムノグチとずっと協働していた四国庵治の和泉石材による。リーダーの和泉正俊さんは当時もう70過ぎておられましたが、その佇まいは石の職人さんというよりは最早アーティスト、積むのは意外と早く、これだけの面積でも1ヶ月かかっていなかった。

壁には山口勝広のサウンドアート、床には当時まだまだ若手だった宮島達男のアートが仕込まれている。両者、オペラシティの設計室にたまに打ち合わせに来られていた。

反復するトップライトは、実は建物の設備負荷を減らすのにも役立っており、当時の設備設計課長が、全面ガラス張りよりだいぶ空間の負荷が減ったと喜んでいたのを思い出す。