上は国立近現代建築資料館のインテリア。方形の部屋に円形の展示ケースがレイアウトされている。
湯島のオフィスの裏にある、国立近現代建築資料館で、9月9日まで公開されている、「建築からまちへ 1945-1970」展に行ってきた。
展示が変わるたびに行っているけど、このブログで紹介するのは初めて。旧岩崎庭園に隣接し、庭園側からと、湯島地方合同庁舎正門側からと、両方からアプローチできる。合同庁舎側からならば、入場無料。
こちらは岩崎庭園側のエントランス。迂回して建物に入る。建物は湯島地方合同庁舎[2]敷地の一角にあった別館(1971年竣工)と新館(1984年竣工)を改修(どちらも旧司法研修所)をリノベーションした。私の知人の弁護士がここで研修を受けたと懐かしそうに話していた。
エントランス正面。ここから入り、二階の展示室へアプローチする。
展示室への階段、コルビジェ風のデザイン。ここを上がってアイキャッチ画像の展示室へ入る。
さて、今回の展覧会であるが、戦後復興時期に建築家が構想した様々な都市計画を一手に展示したユニークな企画で、初めて見る資料、図面がたくさんあった。
まずはこちら、坂倉順三の設計した東急文化会館の断面図。その他新宿西口計画の図面など、初見の資料ばかり。
竣工時に配布された東急文化会館のリーフレット。坂倉順三の渋谷駅前計画、新宿西口計画はいずれも実現し、たとえ東急文化会館のように解体されて、「ヒカリエ」に建て替えられたように、時代による変化を受け入れながらも、いまもその骨格は残り機能している。
これはプロジェクト自体の存在を知らなかった。ある意味今回の目玉、池辺陽による焼け野原になった渋谷中心部の復興計画、1946年に計画されたとの事。当時池辺陽も新進建築家のひとり、戦争直後で現実に建つ仕事もなく、復興計画しかなかった。しかし、青年建築家のあふれる構想がこれらの図面に叩きつけられている。「輝ける都市」コルビジェ風のデザインが時代を感じさせる。後の住宅作家池辺陽からはちょっと想像しえない計画案。
力のこもったパース、ただし、この計画は1ミリも実際の渋谷中心部には反映されていない。
渋谷区の人口分析、グラフも地図と組み合わされデザインされている。レム・クールハースを先取りするような調査データのグラフィック化。このあたり、後の池辺陽を想起させる。図面や資料は今回展示に向けて修復されたとのこと。
こちらは吉阪隆正の大島復興計画。こちらも実現はごく一部にとどまるが、都市への考え方、構造の提案はいずれも貴重なものだ。地域のもつ特性や、歴史を引き出すことにより、1960年代に始まるCIAM的な都市計画への批判も込められている。
今回の展示はいずれも注目すべき資料であり、最近まちづくりなどについて考えることが多いので、大変インスパイアされた。資料的価値が高く、撮影不可の表示のある資料以外は撮影OKだったので、写真を沢山撮ってしまいました。
ちなみに岩崎記念館の様子。今改修中。庭の一部も擁壁工事が進んでいる。