思い出のロマンスカー

先日、現地調査の帰り、久々に小田急電鉄のロマンスカーに乗った。

私も実家は世田谷区経堂で、子どものころから小田急線沿線の住人だった。ロマンスカーは憧れで、小さい頃鉄ちゃんだった私は、ずーっと踏切のそばで電車を、そしてロマンスカーを眺めていた時があった。


ロマンスカーLSE7000型、私にとって、あと多くの小田急線住民にとって、ロマンスカーのデザインとはこれ、車両の先端から外が見えるというのは画期的で、親にせがんでよく乗ったものでありました。親父は座席を取るのが上手くて?箱根からの帰り道、チケット売り場に上手く並んで先端の車窓の席を何回も取ってくれたものである。


ってことで、今回も修善寺からの帰り、小田原を経由してロマンスカーに乗った。デザインはもちろん変わっている。GSE70000型、最新鋭の車両だ。

この車両をデザインしたのは、建築家の岡部憲明、イタリア人建築家レンゾ・ピアノと長く協働し、ピアノが国際コンペで優勝した関西国際空港のデザインパートナーでもある。ピアノ事務所の時代は、建築や都市計画だけでなく、フィアットのカーデザインなども担当している。

ヨーロッパの建築家は、上記のように、建築だけでなく、車や船のデザインなどを行うことも多い。建築家としての長い歴史の他、建築の居住性や、テクノロジーをベースにした課題解決力が評価されていることが原因である。

岡部憲明氏によるこの新型ロマンスカーのデザインも、うれしいことに、一階は客席、運転席を二階に上げた配置計画で、ロマンスカーの原点を守っている。

インテリアのデザイン、ちょっと飛行機のようなイメージ。

小机も座席サイドから引き出すデザイン、飛行機っぽくもあるが、もとからロマンスカーはこのデザインだった。

車両の間仕切り、上を透かして一体感を見せている。このあたりがやっぱり建築的な処理だと思う。

天井側の荷物置き場、ここもアクリルを入れて透かしたデザイン。全般的に「透かし」を取り入れて、軽快な処理をしているところが特徴。

外装のベースは赤、これも未来的デザインで評判だった「LSE7000型」のベースカラーを取り入れている。

かように、全般的に旧車両のイメージを残しつつ、最新のデザイン処理やテクノロジーを取り入れた車両、十分堪能させて頂きました。ただひとつ心残りは、盆前ということもあって食事が全て売り切れだったこと。ロマンスカーのサンドウィッチ食いたかった。。。泣


岡部憲明さんの、ロマンスカーデザインについての記事

建築家・岡部憲明さん 「現実に存在しているものはすべて先生」


最初に述べた日本の車両デザインの傑作、「ロマンスカーLSE7000型」、2018年9月15日、ついにラストランとの事、寂しい。

Romancecar-LSE Last Lun


 

大倉山ヒルタウン/ヴィンテージマンションの魅力

丘に沿って建てられた集合住宅。丘陵の高低差に合わせてヴォリュームが連続する。


プロジェクトの参考に大倉山ヒルタウンを見てきた。1970年代の竣工で、神奈川県建築賞を受賞したタウンハウスの名作である。大倉山の駅を降りて歩いて数分の丘の上に建っている。

ともかく特筆すべきはその緑の多さ、竣工後40年以上が経ち、植栽が根付いて自然の森の中に建っているように見える。市街地より気温が低く感じる。

階段の見上げ。思った以上に高低差がある。上下するだけでも良い運動。

棟と棟との間の小径。高低差をキャンティレバーで解消し、その下にアプローチを配している。階段の横に自転車のためのスロープ。いまはバリアフリーの関係もあり、この規模では、このような階段だけのの各住戸へのアプローチ構成は出来ないだろう。

階段をつなぐ屋上庭園。高低差のある間にあるこのような場が息抜きとなっている。

屋上庭園から屋根を見下げる。三角形の部分はトップライト。

一階、二階、三階は別の住宅になっている。それぞれの住戸へは階段でアプローチする。一階は通路側からは半地下的なレベル設定。坂道をスキップフロア的に使っている。

一部建物の下は駐車場に、高低差を存分に利用している。

建築からかなり経っており、このように高い丘に配置され、坂道の上にあるにも関わらず、いまだにこの集合住宅は人気があり、高値で取引されている。長い年月をかけて緑に囲まれた環境が、自分の住む集合住宅の中で森林浴ができるような環境が形成されている。時間をかけてつくられた豊かな坂道空間が、エリアのステイタスを上げている。関東でも屈指のヴィンテージマンションといえるだろう。


代官山ヒルサイドテラス/街路の復権←こちらも高低差を生かした日本を代表する集合住宅。でも、丘の上感は大倉山ヒルタウンの方が強い。

SANNAの小品/大倉山の集合住宅←大倉山ヒルタウンの近くにあるSANNAの設計による集合住宅。対称的なデザインでありながら、また別の形でコミュニティの形成への提案がある。

 

ライスジュレレシピコンテスト本選

上の写真は最終予選出場者、中にいるきぐるみは河内町のゆるキャラ「かわち丸」

先日、2月11日、茨城県河内町公民館で、「第一回ライスジュレ(米ゲル) グルテンフリーレシピコンテストinかわち」の最終決戦が行われ、グランプリ獲得者が決定しました。皆さん嗜好を凝らし、グルテンフリーや学校給食というテーマに真摯に向き合われていて、企画に加わった一人として大変感動しました。試食だけでなく、参加者のみなさんにプレゼンテーションをお願いしたのは大正解でした。

とくにまちづくりの上で、いままで熱心に活動されていた河内町食生活改善推進員の皆様たち、その代表の鈴木さんの作成した、「ゆず香る~ゆずようかん」は味だけでなく、そのかわち愛に満ちたスピーチとあわせ大変良かったです。お話をきくとかなり試作をくりかえし今の味にしたとの事です。ピンクシャツの応援団もパワフルでした。

第一回ということですが、今後もこのコンテストを発展させ、米の用途拡大、米ゲルの普及、そして河内町のアピールにつながればと思います。

河内町食生活改善推進員でもある鈴木さんのプレゼンテーション風景

 

 

永石さんの写真

永石さんは私たちの設計した建物をもう10年近く撮ってもらっている建築写真家で、カメラマンとして現代建築だけでなく、社寺建築や、近代建築のリノベーションの写真なども手がけている方。全国をまわって古い劇場、というか芝居小屋の写真などもライフワークとして撮っている。彼からは、まず建築写真は正対して撮ることが最初の選択肢で、それを押さえてから自分の好きなアングルを探すことを再認識させてもらった。いつも建物を撮ってもらうとき、私は彼と建物をさっと廻って、どうしても撮って欲しいポイントだけを言って、あとは現場を離れる。そして永石さんはその後勝手に撮影する。インテリアなどは、なにも言わず、私が現場に同伴すらしないときもある。

結果として上がってくる写真群は、まず建築の記録写真としてのカットがあり、その先に彼の感覚で捉えられた空間の写真があって、それはときに自分でも意図しないアングルがある。彼が撮影した膨大な写真の中から、良いカットを見つける、それが私たちの楽しみでもある。

上の写真は、関原テラスハウスのリビング。階段がどうやっても収まりきらず、天井をどう収めるかを担当の大原と現場で検討し、悩んだ結果の壁の形状。天井と壁の間の三角の出っ張りがなければ普通の空間。永石さんの写真のおかげで思わぬユニークな造形になっているのを再認識した。

ライスジュレレシピコンテスト予選

私がずっと関わっている、茨城県河内町のまちづくり、及びライスジュレ(米ゲル)の開発にちなんで、2月11日に「第一回ライスジュレ(米ゲル)ジャパングルテンフリーコンテントinかわち」が行われます。その東京予選が本日池袋であります。企画者の1人として、どんなレシピが集まるか楽しみにしています。これから会場に向かいます。

(追記)参加者の熱意あるプレゼンテーションと、検討を重ねた料理の数々、、、たいへん素晴らしい時間を過ごすことができました。「グルテンフリーと学校給食」をテーマに、皆様の食にかける情熱と、よいものを出したい、グルテンフリーのレシピを作って、すべての子供たちに料理を食べてもらいたい、という意識の高さに圧倒されました。明日の茨城県予選、11日の本戦も期待できます。どんなレシピが出てくるか楽しみです。